いつもは、子どもの帰宅時間を さほど気にしないが、
裏山に登ると言った時は、さすがに気になる。

高台の住宅地から裏山に抜ける道は、子どもにとってちょっとした 探検コース。
3~4名の友達と、「探検に行く」 と言って出て行った三男が、6時になっても帰ってこない。

「裏山に行くのは危ないから、行くなら 早く行って 早く帰ってきてね。」

学校から帰ってくるなり、探検の許可を得にきた三男に そう言うと
「大丈夫。マモリーノを持って行くから」 と、子ども用の携帯電話を持って行った。

遅いな。大丈夫かな?他の子どもさんたちの親も 心配してるんじゃないかな?
きっと首謀者は三男?早く帰ってきたらいいのに。

6時半になった。
もうそろそろ、帰ってくるかな・・・
7時
さすがに遅すぎる。電話してみる。
”お客様のお掛けになった番号は、電源が入っていないか、電波の届かないところにいます”

あちゃー!!!
裏山は行きなれた道。めったな事はないとは思うが、
でもここは、最悪の事態を想定。誰かが怪我をしたとか、道に迷ったとか・・・・。

「ごめん、ちょっと三男を捜してきてくれる?携帯つながらへんねん。」

ソファで本を読みながら、晩ご飯を待っていた長男と二男に捜索を頼む。
しょうがないなあという顔で、長男と二男で、捜索コースの相談をしている。わたしは、7時半から予定していた地域の会合の担当者に連絡し 事情を話す。

家に一人になり、さあ、どうしようか、と思った時、三男が帰ってきた。
「ああ、帰ってきた・・・、あんた!遅いからお兄ちゃんに捜しに行ってもらったんよ!予定していた会合にも 『子どもが帰ってこないから捜しに行くから遅れます』 って。みんなに心配かけてしまったわ」

聞けば、三男は 帰ってくる途中で、二男と会ったらしい。
二男は 長男に三男の帰宅を伝えるため、そのままコースに向かったそう。

三男は裏山からはとっくに帰ってきており、近くの用水路で、ザリガニの赤ちゃんをすくっていたという。
携帯が繋がらなかったのは、充電できていなかったから・・・。

「お母さん、心配かけてごめんなさい」

自分の帰りが遅かったことが 大騒ぎになっている。バツの悪そうな三男。

「ああ、暗くなってきたわ。お兄ちゃんたちのことやから、大丈夫とは思うけど、心配やわ。」
あんたのせいで・・・・とはあえて言わず、捜索に出た二人を心配する。
祈るような三男の顔。

長男と二男は 一度行き違った後、何とか帰ってきてくれた。
二人とも、呆れた顔で、「多分こうなるんとちゃうかなあと思ってた」「やれやれしょうがないなあ~。」

まずは、三人とも無事でなにより。

二人から大目玉をくらいかけている三男を、
「お母さんが心配やったから捜しに行ってもらったの。ありがとうね。」 とかばう。

”お母さんに心配かけ、お兄ちゃんに迷惑かけて本当に悪かったな”と、
三男が心底 思ってくれることが、一番大事。

実は 長男も二男も 大騒ぎは経験済み。
これも母親の通過儀礼。わたしの対応も上手くなっている(多分)。