いつもは、6時15分に 帰ってくる長男(中3)が
「お母さん、テレビつけて!NHK!」 と叫んでいる。

あれ?学校から帰ってきたんや。まだ、5時すぎやん。
声の強さが いつもと違う。慌ててテレビをつけながら
「どうしたん?」

「害虫駆除の薬をまいていて、1年が何人か気分が悪くなって、過呼吸で緊急配送されたんやって。
それで、クラブがなくなった。明日の朝連もなし。
NHKの車が来てた!」
見慣れない 学校の光景が まだ脳裏に焼きついているのか、
興奮気味に話す。

そういえば、ペリコプターの音がうるさい。
あれは 中学校の上空を 飛んでいたんだ・・。
何機も飛んでいる。高速道路の渋滞時に飛ぶヘリコプターと 明らかに様子が違う。

もっと 詳細な 説明が聞きたい。状況説明の下手な長男!!
中3やろ、もうちょっと 具体的な様子を説明できんか~

「二男は?まだなん?」
「知らん」
長男は テレビのリモコンをいじっていたが、どこのチャンネルでも ニュースを報道していないのを確認すると
あきらめたのか、本を読み始める。

二男は1年だ。
急に心配になってくる。
まさか 巻き込まれているのではあるまいな・・。
帰宅時に、いつも 何気なくチェックしている 留守番電話の伝言を示す赤い点灯。
見落としていなかったか、あわてて確認。

携帯電話も確認。
学校からの通知はない。
だから、多分、二男は巻き込まれていない。

多分・・・・なので、確証はない。
学校に 電話を入れたくなる 衝動を感じる。

二男は、なかなか家に帰ってこなかった。

しばらくして、放課後遊びから 帰ってきた三男が、二男は 小学校にいると教えてくれた。
そういえば、今日、卒業アルバムを受け取りに行くと言っていたっけ。

やっと 帰ってきた。
「ああ、やっと安心できた~」
わかっていても、なんとなく 顔をみるまで 落ち着かなかったので、素直に表現する。
やや呆れ顔の 二男。オカンはいつも 心配してんねんでぇ~

二男の友達が 病院に搬送されたらしい。夕方のニュースでは みな軽症だということなので、大事には至らないだろうと、気持ちを落ち着ける。

電話が 何本か入る。

「ご心配頂きましたが、ボクは大丈夫です。」
二男を電話に出させて、その横で模範応答。ちゃんと言ってる言ってる~

中学一年生だった時
夏休み中に 障害事件に遭った時の事を ふと 思い出す。
わたしは、不審者に 後ろから 頭をたたかれて、そのまま病院に搬送された。
しばらくして、会社にいっているはずの父が、背広姿で 現れた。
慌てた様子で 部屋に入ってきた父は いつもと違う 表情だったな。